
ねぇもう嫌・・・
第19章 レントゲン
「あと1枚だよ〜最後頑張ろ〜っ。」
薄暗いレントゲン室。
逃げ場など無くて。
こんなに居たのってくらい、私の周りにはたくさんの技師が集まっていた。
「っ…」
『もう自分で立ちな。迷惑かかってるから。』
柊先生が私に近づいてそう言った。
『ちゃんと立って、足開いて?』
涙が少し止まり、痛む手の代わりにぎゅっと目を瞑って目の淵に溜まった涙を一気に流した。
・・・
この後のことは全く覚えてない。
どんな顔してレントゲンを撮ったのかも、
どうやって浅田先生の所へ行ったのかも。
だけど、身体がビクッと震えながらも見つめた柊先生の髪は、
ゆさゆさと揺れて、
格好よかった。
恋してるんだと、初めて気づいた瞬間だった。
