
ねぇもう嫌・・・
第20章 入院
「ひなちゃん着いたよ。此処、ひなちゃんを想って個室にしたんだ。」
6階建ての5階。
佐藤先生がオレンジ色の扉を横に引く…
「お母さんっ…」
大きな鞄を手に持ったお母さんが、窓際の椅子に座っていた。
「っ」
私は小走りでお母さんに抱きついた。
「ひな…」
お母さんが表情を緩めて言った。
「お母さん…っ」
その体温に涙が溢れた。
「…お母さん。少し説明があるので…。ごめんねひなちゃん、ちょっと待っててね。」
佐藤先生がお母さんを廊下へと手招きした。
「っ…」
お母さんともう少しくっついていたかった…
お母さんは私の手をそっと離すとニコッと微笑んだ。
「っ…」
お母さんは言われた通りに部屋を出て行った。
