
ねぇもう嫌・・・
第6章 多目的室
気づくと保健室のベッドの上だった。
カーテンを開けて保健室を見渡す。
カーテンの音で気づいた保健の先生が声をかけてきた。
「私…」
「笹川さん、起きたのね。さっき倒れちゃって…」
「…っ」
倒れた…?
自分がここに居る衝撃より、ふと浮かんだ主治医が何より恐ろしく感じた。
「あ、そうだ笹川さん」
「はい」
「これ確認お願いしてもいいかな」
渡された紙には、
H3B 笹川陽菜 ササガワヒナ ○ 〜泌尿器科クリニック
と書かれていた。
その文字を見ると思わず泣きだしそうになった。
あの日のことを思い出さずにはいられない。
それと同時に、診察の予約をもう1ヶ月も延ばしていることに焦りを覚えた。
すぐに紙を返した。
「間違いないのね?ありがとう。」
先生と軽く会釈し、帰りのSHRで教室に戻ることにした。
