
ねぇもう嫌・・・
第21章 検査④
『落ち着いて、深呼吸してくれるだけでいいから。
…その前に、一旦ゼリー拭かせて?』
「…」
コクッと小さく頷くと
如月先生が紙ナプキンを手に取り、私の胸に当てた。
パリパリと、紙ナプキン同士が擦れる音と
胸に伝わる感触。
「ッ…ッ…」
やっぱり感じちゃって
無意識に顎がクッと天井に向く。
胸が張り、そのせいで顔も熱くなって…
慌てた様に如月先生の手が止まった。
「っ大丈夫?」
「っ…」
そっか、柊先生、私のこの体質…伝えてないんだ。
『…痛い?』
「っ」
慌てて首を振った。
「…ごめんね。」
言葉と共に、また新しい紙が胸に触れた。
「ッ…ゥ、っ…」
必死に歯を食いしばり、横を向いて目を瞑った。
『ひなちゃん、上向いてもらっていい?』
「っ…」
そっと目を開ける。
唇を噛んだまま黙っていると、如月先生に顔を上に向かされた。
さっきと同じ風景に泣きそうになる。
『うん、ありがとう。
少しエコー当てるね。』
目線をぐっと左下に下ろし、如月先生の足を睨んだ。
そうしていなきゃ、また泣きそうで苦しかった。
再度胸に生暖かいモノが触れる。
瞬間、ぎゅっと目を瞑って、またぱっと開けた。
それが僅かに動き、暫くすると、
『…まだドキドキしてるね。』
と、神木先生が呟いた。
『…ただの緊張ならいいんだけど。
…もう暫く経過を見たいな。』
突然私の目の上に手を置かれた。
突然人の手によって視界が塞がれ、
その暗さでまたぎゅっと目を瞑った。
『…目を瞑って、寝てくれる?
そしたらきっと、恥ずかしいことも忘れられるし
安静時のひなちゃんが診れるから。
…
あっ、返事はしなくていいよ。
…お休み。』
「っ…」
