ねぇもう嫌・・・
第23章 夢のようで 涙はきっと現実
『ひなちゃんごめんっ遅くなっちゃった』
涙が頬を伝って首筋に触れた時、佐藤先生が戻ってきた。
「一応検査は終わったよ。」
『ごめん…すごく助かった。』
先生は佐藤先生に説明しながら、右手を私の左肩に置いた。
肩にのしかかる重みと、暖かさが、私に安堵を与える。
『ごめんねひなちゃん。』
佐藤先生が左手を私の右肩に置き、顔を覗き込むようにしゃがんで言った。
「…っ」
やるせなくて、"嫌だ"って顔をする。
また目頭が熱くなってきた。
『ひなちゃん、病室に戻ってゆっくり休んで。』
佐藤先生の言葉に、先生が "うんうん" と頷いた。
『柊の夜の回診まで誰も病室に入らないから。あっ、もちろんっ何かあったらちゃんと呼ぶんだよ?』
「…」
頷かざるを得なくて、浅く頷いた。
佐藤先生はそのまま他の診察に向かった。
検査室では、片付けをしている看護師と先生と私しか居なくなった。
先生の
「帰ろっか。」
って言葉に
「うん。」
て言う。
先生は、検査が終わればどこまでも優しくしてくれるんだ