卑怯なボクは深海魚
第7章 再び木の下
「なぁ…あの時――――…俺が万引きしたのを見て…
辻山はどう…思った?」
さよなら――――…しないと…
そう思って暗くなる公園を焦りながら眺めていると…
先輩はボクの顔を覗きこみながら聞いてきた――――…
「――――万引き…した瞬間ですか…?」
ボクは…まだ、困った顔をしている先輩を見つめ…
あの日の――――…
あの瞬間を――――…思い出す
「――――…“マジで?…嘘”――――…って、感じですかね…
そして――――…なんか…嫌でした
一応…憧れていたんで――――…ショック…でしたね」
「ハッ…ハハハ…だよな…」
「でも――――…ボクは――――…そんな先輩でも…キスがしたかった…
ボクの秘密と先輩の秘密を天秤にかけたんです…
ボクの【欲】は…それくらいの罪じゃないと…釣り合わない
ボクは――――…クソ野郎です…」
ボクは先輩隣を立った――――…
夜が来る――――――――…
このままだと…また…ボクは【欲】に負ける
期待してしまう…