卑怯なボクは深海魚
第8章 闇が二人を近づける
ー長谷川sideー
「――――帰るの?」
ベンチから立ち上がる辻山 健太の手首を掴んでしまった――――…
無意識だった…本当に…
無意識だった――――…
自分の事…初めて人に喋った――――…
不思議と…なんの抵抗もなく口から出ていた…
そして、辻山の事も…聞けた
男性を好きになる――――…男性の切実な現状を聞いてきまい
俺はなんて声をかけていいのか正解がわからないまま――――…沈黙してしまった
そんな間に耐えかねてか…
辻山は、ベンチから立ったのだろうか――――…
だが…俺はそんな辻山の手首を…しっかりと掴み…
フェイドアウトを阻止したのだ…
だって――――…ここで辻山と別れたら…
2度と…話せない気がしたから――――――――――――…