卑怯なボクは深海魚
第17章 【最終章】卑怯なボクは深海魚
あぁ――――…
深海はこんなに深く…暗く…静かなんだ――――…
その日の夜は…
眠れなかった
胸が痛くて…苦しくて…
先輩がボクにくれた“疑愛”を何度も思い出し泣き続けた
重ねた手も――――…
重ねた唇も
重ねた視線も
確かにボクの人生を幸せにしてくれた
ボクを深海から引き上げてくれた――――…
でも、ボクは深海から出ることは出来ない
かといって…先輩が深海に潜る事も出来なかった
ボクたちは互いの世界の境界線を越えられなかった…
このままボクたちの関係が上手く行くわけがないって――――…
本能で感じ取っていた
だから、先輩もボクも――――…何もの言えなかったし…言わなかった