卑怯なボクは深海魚
第3章 戻らぬ日常
「はぁ、はぁ――――…ぅ…ぇ」
嗚咽が止まらない――――…
すると…授業のチャイムが聞こえてくる
バタバタと廊下を生徒が走る音が聞こえていたが…ボクは便器に顔を突っ込んだまま…脱力するだけだった
――――…“出る”
先輩の登り詰めた…絞り出す様な声が…ボクの耳に焼き付いて消えてくれない
5日――――…
ボクの中では…【まだ…5日】
だったのに――――…
先輩の中では…【もう、5日】
だったのだろう――――…彼女さんと抱き合えるほど…
先輩の日常はすでに動いていたんだ…