卑怯なボクは深海魚
第5章 動き出す関係
――――…ボクは…バカなのかも知れない
サッカースタジアムの入り口まで来てボクは唇を噛み締めた
結局――――…ボクは…
先輩の声に逆らうことが出来ず…会場まで来てしまった
でも――――…ここまでに何度も引き換えそうとしたり…足が進まなかったりと…
スタジアムの前まで来るのに時間がたってしまった
試合はすでに後半戦も半ば
試合の流れは…決まっているかもしれない
ボクが来たからと言って――――…流れは変わらない気がした
ボクは…帽子を深くかぶり直して…だて眼鏡も目の位置に会わせるように指で押した
遠くで見て――――…バレないうちに帰ろう
ボクはやっと…スタジアムのゲートをくぐった