卑怯なボクは深海魚
第5章 動き出す関係
サッカー部員応援席から、少し離れた場所に――――…
先輩の彼女さんと…その友達らしき女子がキャーキャー騒いでいるのが見えた
ボクは入口の目立たない場所で…先輩を探す
サッカー部員の応援…
彼女さんの応援…
わが校を応援してくれる地元の方々の応援
ボクの応援する…隙間なんて無い気がした
「春太――――!!頑張って――――!」
「――――…」
ボクは…口を閉じたまま
先輩の様子を観察する
重そうな足取り――――…辛そうな表情…
――――…頑張れ…
ボクは声に出せないエールを先輩の背中に何度もぶつけた――――…
と――――…ふと、先輩の動きが止り
こっちを見た
「///あっ…「キャー!ほら!さなの応援が聞こえたんだよ!!キャーー!春太君ー頑張って!!」
――――ボクの前にいる彼女さんのグループが先輩の振り向きに大きく手を振りアピールしている
だよね――――…ボクなんかを探した訳じゃ無いんだよね
大きな声で応援してくれた彼女さんの声に反応しただけ
ボクは…先輩の視界に入らないように…帽子を深くかぶる