
将来の夢
第1章 嬉しかったんだよ
「隆弘(カタヒロ)――――…お前も…もう29だ…そろそろ…いい人と一緒になることを考えてもいい歳なんだぞ?」
いい歳――――…29で?
俺は親父からの電話を少しうんざりしながらも聞いていた
「――――いい人…いないのか?」
「付き合っている子はいるけど――――…そんな話にはならないんだ…まだ、時期じゃ…無いって言うか――――…」
父親は俺が“付き合っている子はいる”と聞くと…安心したのか…
そうか――――…解った…
と、電話を切った――――…
「愛(アイ)は――――…いつまでも…9歳のままなのに…お兄ちゃんだけ…歳をとってしまう…」
大きくなったら――――お兄ちゃんのお嫁さんになるのが夢…
愛は、一向に大きくならない――――…
「――――でも…君は――――大きくなるよね?」
俺は、電話を置くと――――…
隣にいた彼女に頬を寄せた――――…
