テキストサイズ

幸せのあしあと

第1章 幸せのあしあと


 とにかく、生まれたばかりの可愛い犬は躾はされてませんから、無邪気に悪戯をします。

 隆雄さんの愛用眼鏡をへし折る。

 至るところにおしっこ(獣より酷い匂い充満)
梅雨の頃に飼われたらしく、まさに最悪な状態。

 犬がワンワン鳴くのは当たり前。

 ペットを飼うって簡単ではない事を実感していったようです。


 可愛いから許すって何度まで?
 犬も一緒のようです。
 可愛いからって許されるのは、ずっとじゃないのです。
 限りというもんがあるわけです。

 しかも、やっと一人息子の雅人があと一年で学生が終わり、社会人になろうとしている頃でした。
手が掛からなくなった分、お金が掛かる頃でもあります。

 静かな生活を送っていたはずなのに、ムック出現に隆雄さんは我慢の限界がきたようです。

 隆雄さんの眼鏡を壊した時、家から追い出されて、美香子さんが帰ってくるまで、庭でずっと待っていたようです。

 「クゥーン クゥーン」と哀しい声で鳴くムック。

 「ムック、お父さんの大事な眼鏡壊しちゃったの。
ダメよ。
だからお仕置きされたのよ」

 美香子さんはムックに言い聞かせます。
でも、隆雄さんがそんなにムックを嫌うのなら、飼う訳にはいかないと、犬猫病院やペットショップ、犬の美容院に相談しました。

 

 

ストーリーメニュー

TOPTOPへ