赤い糸
第13章 With you
…無理よ
一瞬だけ見えた彼の熱は思っていたよりも大きくて恐怖さえ感じた。
愛してください…なんて調子に乗って言ったバツかもしれない。
京介さんは小さなパッケージを噛んで引きちぎると慣れた手つきであっという間にソレを装着して
…どうしよう
俗にいうイカされ続けて力が入らない私の膝をグッと引き寄せ割らせ、私自身もどうなっているのかわからない秘部にソレ擦り寄せると
「挿れるよ。」
そう一言前置きをして私のナカに挿いってきた。
一瞬痛みが走るけど、それと同時に今までとは比べようもならないほどの快楽の波が押し寄せてくる。
「痛くないか?」
「…少しだけ。」
こういうときは我慢するものなのかもしれないけど素直に告げた。
初めてだけどハジメテじゃなかった。
嬉しかった
痛みの奥に愛を感じ幸福感が不安を一気に拭い去る。
だから その幸せな気分をもう少し感じていたくて京介さんに動かないで欲しいとワガママを告げた。
すると、フワフワする私の頭の中にいくつかのシチュエーションがどこからともなく浮かんできた。
『璃子…』
そのどれもが京介さんの声で
『Yシャツ貯まってんだけど』
『おはよう』
『すげぇうまい!』
『おまえは誰のモノだっけ?』
きっと忘れてしまっていたあの頃の彼で
「悪い、手加減するべきだったな。」
「ち…違います。」
ずっとずっと思い出したかった大好きな彼の姿で
「ゴメンな…痛かったよな。」
そう、こうやって包み込んでくれる京介さんで…
「違うの…」
「ん?」
「やっと…逢えたんです。」
「誰に?」
「記憶を無くす前の京介さんに…ほら、こうやって目を瞑ると…」
想いを重ねて繋がったことで蘇ってきた記憶の欠片。
「ホントに?」
その記憶の中には目を反らせたい過去もあるはずだけど
「はぃ…意地悪な顔して笑ってる京介さんが瞼の裏にいます。」
「なんだよそれ…」
そのすべては私たちが歩んできた証。
京介さんは私の瞼にキスをすると
「もう二度と忘れるなよ。」
そう言ってギュッと抱きしめてくれた。
その力に負けないように私もギュッと抱きしめ返すんだけど…
「バカ…力入れんな。」
「はぃ?!」
「それはヤバい…」
キスをした。とびきりに甘いキスを何度も
それは甘い時間の始まりの合図だった。