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Treasure of life

第10章 三日月

side A

「ふぅ〜、お腹いっぱい」
「美味かったね〜」
お腹も満たされて店を出た。


ふと見上げると、夜空にくっきりと白い月が出ているのに気づいた。


キレイな三日月……。


まわりに遮るものがないから、星空にぽっかりと浮かび上がって一層綺麗に見える。


「あーばさん?」
「あっ、ごめん!今夜は三日月だな〜と思って」
「ほんとだ。
ふふっ、相葉さんも月なんて見るんだ?」
「失礼なっ!俺だって月ぐらい見るよっ」


そんなことを言いながら帰路につく。


けど……。


このまま帰りたくなくて…。


もっとニノちゃんと一緒にいたくて……。


「やっぱりニノちゃんといると落ち着く」
何気ない会話のなかで言ってみる。

赤信号で止まった車の中、
「なに?急に」
「いや、ふと思っただけ」
ニノちゃんは少し笑って俺の方を見た。


「ちょっとウチで飲んでく?」
「でも俺、車だし…」
「泊まっていけばいいでしょ?」


一瞬、心の内を読まれたかと思った。

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