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Treasure of life

第11章 After the rain

side M

智くんから届いたメッセージ。

『わかった。見つかるといいね』

はあ…。

返信をうって、ひとつ溜め息をつく。

1分でも早く会いたかったけど、しょうがないか。


智くんの学校の最寄り駅まで行って待っていようかな。

びっくりするかな。

智くんは教師だから、同じ学校の先生や生徒に見つからないように極力、学校の近くでは会わないようにしている。

でも、ちょっとだけ…駅の雰囲気とか、見るだけならいいよね?

俺は来た電車に飛び乗った。


やっぱり遠いな…。

智くん、毎日1時間半かけて通っているんだもんなあ。

好きな音楽を聴きながらガタゴトと電車に揺られ、智くんの学校の最寄り駅に着いた。


改札を出ると、意外にも今風のお洒落な駅舎。

周囲を見渡してみたら、緑が多くてのどかなところだと感じる。

俺は駅前のカフェで待つことに決め、智くんにLINEを送った。


暫くしてふと窓の外に目をやると、一人の男子生徒と、智くんらしき人が遠目に見えた。

生徒は自転車を押している。

あ、自転車見つかったのかな…。

その生徒は智くんにペコリと頭を下げると、自転車に乗って去っていった。

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