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Treasure of life

第11章 After the rain

side C

大野先生は俺が学校を休んでから、毎日のようにウチを訪ねて来てくれた。

担任でもないのに。

なんでそこまで…―――。


「先生…、俺あんな酷いことしたのになんで…?」

先生は優しく微笑みながらこう言った。

「知念が俺の大事な生徒だからだよ。生徒を見守るのも、教師の仕事だよ」

先生は続ける。

「お前を傷つけたなら謝る。でもこれだけはわかってほしい。俺は潤のことが好きだ。その気持ちは今も変わらない。俺と潤が付き合ってることがもし公になっても、俺は逃げも隠れもしないよ」

俺を真っ直ぐ見て、そう言葉を結んだ。

毅然とした態度に、目の前が滲んで一滴の涙が零れた。

「……わかりました。
先生と松本さんを別れさせて、先生を奪おうだなんて考えた自分が甘かったです……。すみませんでした」


悔しいけど、俺の負けだ……。


「兄さんにお願いして…、そしたら知り合いの人に頼んでくれて。2人のことをいろいろ調べました…」

俺はスマホを手に取って、先生と松本さんの写真を消去した。

「松本さんを脅したりして……すみませんでした」

先生は大きく頷いた。


「先生、俺やり直せますか…?」

「できるよ。知念なら……。

俺が見てるから」


「……ありがとう…ございます」


情けなく涙を流す俺に、先生は柔らかい表情で俺の肩をポンポンと叩いた。

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