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Treasure of life

第11章 After the rain

side S

「本当にありがとうございました」

大野先生に深々と頭を下げる。

「いえ、良かったです。侑李くん、また学校に行くと言ってくれました」
「先生には何とお詫びしていいか……」
「いえいえ、本人も素直に謝ってくれましたんで」
「これからも温かいご指導宜しくお願いします」
「はい」

笑顔を見せてくれた先生を玄関で見送った。

侑李は、素晴らしい先生に出会えたんだな……。



さて、俺にはもうひとつやるべきことがある。

和に本当のことを話すってこと。



俺は和に連絡した……。

何か感じ取ったのか、和は神妙な面持ちでやってきた。

「前に、和が友達のこと、俺に話してくれたじゃん?」

「うん」

俺は今までのことを全部和に告げた。


「……潤が、知念て言ってたから……まさかとは思ってた。知念ユウリって…」

「…そう。侑李は俺の弟だよ」

「……やっぱり。弟から頼まれて断われなかったの?」

和の問いに俺はコクリと頷いた。

「侑李は、11こ年の離れた弟で。俺のこと、いつも『お兄ちゃん、お兄ちゃん』て慕ってくれてた。
今回のことも…、侑李の気持ちを無駄にしたくなくて……。

俺の判断が間違ってた……。

全ては俺のせいだよ。ごめん…」

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