
オオカミは淫らな仔羊に欲情す
第13章 溢れる想い
毎年恒例の如き大雪に見舞われたセンター試験も
各志望大学ごとに行われる一次試験も、
何とか無難にやり過ごして。
ようやく我ら受験生はひと心地つく。
今夜は独りでちょっとしたお疲れ様会。
自慢じゃないが、アルコールにはかなり強いと
自負していた。
だって、両親は共に下戸で、その父が
『―― お父さん、絢はまだ中学生なんですよ』
と、辟易・渋顔する傍らでおじいちゃんの晩酌の
相手は専らこの私だったから。
だけど、今夜に限って。
いつもならへっちゃらなのに、
連日のオーバーワークが祟ってか?
いつもの半量も飲まないうちに
すっかり酔いが回ってしまい ――。
『―― どうしたんですかねぇ、いつもはこんなに
あっさり潰れちゃう子じゃあないんですが』
『フィガロ』のオーナー、結城さんの声が
頭の上からする。
誰と話しているのか分からないけど、
どうやら、カウンターに突っ伏して眠ってしまった
私の事をあれこれ話しているようだ。
『―― おーい、絢ちゃんやぁ~い? そろそろ
起きないと店の外へほっぽり出されちゃうよ~』
ふふふ……依然、誰だか分かんないけど、
そう耳元で囁かれた声は。
何だかとっても心地良かった。
『酷いなぁ、竜二くんってば! いくら私でも
常連さんにそこまで酷くはしませんよ』
……??
竜二、くん? 今、竜二くんって言った?
けど、どうしてあいつがこんな所にいるの??
入学試験の下準備で猫の手も借りたいくらい
忙しいって、言ってたくせにっ。
各志望大学ごとに行われる一次試験も、
何とか無難にやり過ごして。
ようやく我ら受験生はひと心地つく。
今夜は独りでちょっとしたお疲れ様会。
自慢じゃないが、アルコールにはかなり強いと
自負していた。
だって、両親は共に下戸で、その父が
『―― お父さん、絢はまだ中学生なんですよ』
と、辟易・渋顔する傍らでおじいちゃんの晩酌の
相手は専らこの私だったから。
だけど、今夜に限って。
いつもならへっちゃらなのに、
連日のオーバーワークが祟ってか?
いつもの半量も飲まないうちに
すっかり酔いが回ってしまい ――。
『―― どうしたんですかねぇ、いつもはこんなに
あっさり潰れちゃう子じゃあないんですが』
『フィガロ』のオーナー、結城さんの声が
頭の上からする。
誰と話しているのか分からないけど、
どうやら、カウンターに突っ伏して眠ってしまった
私の事をあれこれ話しているようだ。
『―― おーい、絢ちゃんやぁ~い? そろそろ
起きないと店の外へほっぽり出されちゃうよ~』
ふふふ……依然、誰だか分かんないけど、
そう耳元で囁かれた声は。
何だかとっても心地良かった。
『酷いなぁ、竜二くんってば! いくら私でも
常連さんにそこまで酷くはしませんよ』
……??
竜二、くん? 今、竜二くんって言った?
けど、どうしてあいつがこんな所にいるの??
入学試験の下準備で猫の手も借りたいくらい
忙しいって、言ってたくせにっ。
