テキストサイズ

オオカミは淫らな仔羊に欲情す

第3章 導入部・その①


「!! はう ―― っっ」

「ご、ごめん。痛かった?」

「う ―― ううん、だい、じょぶ……」

「や、やべぇ ―― も、だめ、だ……」

「へ?」


  裕は私のナカで動く間もなく、イってしまった。


  でも、私は少なからず好意を持っていた裕と
  卒業までにひとつになれて、
  何だか嬉しいような、ちょっぴり大人に
  なれたようなそんな気持ちがしていた。

  それに、行為のあと、彼の腕枕でまどろむ
  ゆったりした時間がこんなにいいもんだとは
  思ってもみなかった。

  
  そんな甘い時間を、無機質な携帯電話の
  アラーム音がぶち壊す。

    
  
「……(電話)出なくていいのか?」

「―― んー、もうっ! しつこいんだからっ」


  なかなか鳴り止まないアラーム音に、いい加減
  うんざりしつつ応対に出た。
  
  
「もしもし ―― あ、ごめん、マナーモードにしてた
 から気が付かなかった ―― あ、出来れば今夜は
 アキか菊ちゃんちに泊まりたいんやけど?」
 
 
  そう、電話の向こうの姉に言いながら、
  チラリ裕と視線を絡ませ微笑み合う。
  
  
「大丈夫だって、ちゃんと遅刻せんように行くし……
 うん ―― うん、わかった、じゃ ――」
 
「―― よく、初音さんが許してくれたな」

「中学時代の同窓会とかで、今夜は東京泊まりなん」

「へぇ、そうだったのか……でも、神田と宮藤んちに
 連絡されたらバレるんとちゃうか?」
 
 
  ”あ、そうやった!” と思い、
  慌てて口裏合わせのお願いメール送信。 
  
  相手は親友の神田菊栄と宮藤アキ。
  
  ほどなく、2人からは ――
  
  ”オッケー、その代わり、明日詳細、
  説明しなさいよね~”
  
  という、メールが返信されてきた。      
  
  
  それから私達はとりあえず交代でシャワーして
  ―― 裕はめんどーだから、一緒に入ろうって
  言ったけど、私が断固拒否した。
  
  だって、あんな明るい場所で裸を見られるのは
  さすがにまだ恥ずかしかったんだもん……。
  

ストーリーメニュー

TOPTOPへ