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オオカミは淫らな仔羊に欲情す

第3章 導入部・その①

  翌日、いつものように登校した私は
  昨日のメールでの宣言通り、
  菊ちゃんとアキから質問攻めにされた。
  
  
「ふぅ~っ……とうとう絢も、美味しく頂かれちゃい
 ましたか」

「う、うん、余すとこなく」
 
「しかも相手は野球部の王子様!」      

「ん、まぁ、そんなとこです……」

「あっ。わざわざ聞くまでもないと思うけど、もちろん
 避妊は大丈夫よね?」
 
「あ、うん、もちろんよ」


  って、とっさに答えちゃったけど、ホント言うと、
  買い置きスキンがなくなってしまい、
  最後の1回は外で出してもらった。
  
  
「学年イチの才女だって、避妊に失敗してデキちゃって
 退学じゃ、目も当てられんもんね~」
 
 
  先月、お隣のクラス・S組の女子が退学になった。
  
  表向きは”自主退学”という事だったが、
  理事長始め学校運営陣からの勧告があったのは
  間違い。
  
  彼女にとって相手が担任だったって事も
  不運ポイントになったと思う。
  
  その担任は彼女と同じく”自主的”という事を
  強調され仕事を追われ、この近所に住んでいたけど
  ”教え子に手を出した淫行教師”というレッテルを
  貼られ、逃げるように街から姿を消した。
  
  風のうわさによれば、今彼は東京で日雇い派遣を
  しながらその日その日を食い繋いでいるのだそう。

  そんな惨めな思いだけは絶対したくない!
  
  
  だから、予定より6日遅れで月のものがあった時は
  本当にホッとした。
  
  あと、1日なかったらマジ、妊娠検査薬買って
  来なきゃって考えてたから。  

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