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オオカミは淫らな仔羊に欲情す

第1章 プロローグ

  ドックン ドックンと、さっきまでの弾んだ鼓動
  とは全く別の、嫌な動悸が絢音を支配しつつ
  あった。
  
  音をたてないようにスクールシューズを脱ぐ。
  
  そうっと上框にあがったその時、
  か細い女の声が飛び込んできた。
  
  それがLDKから聞こえているものだと気付いた
  瞬間、ますます絢音の動悸は激しくなった。
  
  震える手でLDKのドアノブへ手をかけた。
  
  
「あ……んふ……いぃ……」


  その時にはもう、女の喘ぐ声がはっきりと絢音の耳に
  届いていた。  

  意を決し、そのドアを開けようとした時、
  肩に手が置かれ、

「ひっ ――!!」

  絢音は危うく悲鳴を上げかけた。

  その手は、2こ上の姉・初音の物で。

  初音は素早くもう一方の手で絢音の口を塞ぎ、
  絢音を引きずるような感じで階段の方へ誘う。



  絢音は 「ふぅ~~っ」と息をつきながら初音の
  ベッドに腰掛けた。


「……それにしても、びっくりしたぁ……」

 

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