
オオカミは淫らな仔羊に欲情す
第5章 新天地・東京へ
「あ、あのな……」
「―― わ、私を買って下さい」
「あぁっ??」
「幾らでも構いません ―― って、あんまし安くちゃ
困るけど」
「……お前、アタマは大丈夫か?」
その時、部屋の奥からあっけらかんと明るい
笑い声が聞こえて来た。
そりゃそうだ、ここはラブホ、
デリヘル嬢でも呼ぶ予定がないなら、
普通1人で来る物好きはいない。
”??”と、目を向けたベットの端っこに
女の人がいた。
しかも、パッと見(こんな事言っちゃ失礼だけど)
かなり可愛い。
バービー人形みたい。
「ハ~イ、今晩わ~」
「あ ―― ど、も……」
「まぁ ―― 入ってくるなり”自分を買え”だなんて
最近の女子高生ってホント大胆ねぇ~」
「―― は、ぁ、色々と事情がありまして……」
「こんな中年親父にカラダ売るほど困ってるなら
なんでもっと早く私のとこに来なかったん?」
「……は?」
「あんた、史江んとこのあやちゃんやろ?」
「は、は、ぁ……」
「私が鬼束珠姫よ」
「う、うっそぉ~~っ!」
「ホ・ン・ト。**日には京都から新幹線で出たって
から、待ってたのよ~」
「あ、それは、申し訳ありませんでした……」
「あ、ついでだから紹介しておくわ。
その無粋な野朗は鮫島竜二っての。
宜しくね」
「は、はぁ……こちらこそ、宜しくです」
