
オオカミは淫らな仔羊に欲情す
第5章 新天地・東京へ
目指す部屋のドアの前についた時、急に怖くなって
後ずさった。
「―― ん? どしたの?」
「あ、あの、やっぱ私……(こんな事できん)」
「お、おい ―― 今さらそりゃないだろ。金なら
払う。何なら、前金だっていいぞ。キミがちゃんと
サービスしてくれるならばだけど」
と言って、小父さんは部屋のドアを開いた。
「ごめんなさい、やっぱりだめ ――」
逃げ出す私。追う小父さん。
エレベーターホールの辺りで追いつかれ、
”ヤる・ヤラない”の押し問答。
そこから一番近い部屋のドアが開いて戸口に
ちょっといかつい顔の男の人が立った。
私は気が付かなかったけど、何と、その人は、
あの引退試合の時、裕が打った場外ホームランの
ボールを拾って投げてくれたあの人だったのだ。
その人は、当てつけがましく咳払いをした。
「その程度の女に幾ら払うんだか知らんが、
風俗へでも行った方が手っ取り早いとちゃうか?」
小父さんは、その人と私の顔を交互に見た後、
”チッ”と、小さく舌打ちをして、エレベーターで
去って行った。
「慣れねぇ事はすんな」
そう言って、閉めようとしたドアを私はとっさに
止めて、あろう事かその人ごと室内に押し込む
ようにして、強引に室内へ入った。
後ずさった。
「―― ん? どしたの?」
「あ、あの、やっぱ私……(こんな事できん)」
「お、おい ―― 今さらそりゃないだろ。金なら
払う。何なら、前金だっていいぞ。キミがちゃんと
サービスしてくれるならばだけど」
と言って、小父さんは部屋のドアを開いた。
「ごめんなさい、やっぱりだめ ――」
逃げ出す私。追う小父さん。
エレベーターホールの辺りで追いつかれ、
”ヤる・ヤラない”の押し問答。
そこから一番近い部屋のドアが開いて戸口に
ちょっといかつい顔の男の人が立った。
私は気が付かなかったけど、何と、その人は、
あの引退試合の時、裕が打った場外ホームランの
ボールを拾って投げてくれたあの人だったのだ。
その人は、当てつけがましく咳払いをした。
「その程度の女に幾ら払うんだか知らんが、
風俗へでも行った方が手っ取り早いとちゃうか?」
小父さんは、その人と私の顔を交互に見た後、
”チッ”と、小さく舌打ちをして、エレベーターで
去って行った。
「慣れねぇ事はすんな」
そう言って、閉めようとしたドアを私はとっさに
止めて、あろう事かその人ごと室内に押し込む
ようにして、強引に室内へ入った。
