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オオカミは淫らな仔羊に欲情す

第9章 季節はうつろう


  キラキラして見えたり、触ってみたくなったり……
  所かまわず押し倒したくなったり ――っ、

  急に真顔になった竜二が自分をじっと凝視
  しているので、絢音はなんだか不安になる。


「……セン、セ?」


   (まいった。すっげぇ、可愛い……)

  絢音の華奢な体はちょっと力をこめ引っ張った
  だけで、いとも容易く自分の腕の中へすっぽり
  収まった。


「センセ ―― っ」


  その肩を抱いた手にゆっくり力をこめていくと、
  絢音の体はほんの少し強張った。

  普段どんなに虚勢を張ってはいても、
  根は17才の純情な娘なのだ。
   
  だから、強欲と血にまみれた自分の手では
  穢したくなかった。


   (やべぇ ―― めっちゃキスしたい……)


  その時、たまたま女子高生のグループが
  土手を上がってきたので、2人はパッと離れた。


  が ――、
  
 
『ちょっと、今のアレ、見た?』

『見た見たっ。やっぱアレってリアル**よね~』

『すんごくイイ雰囲気だったじゃん』

『やぁん、なんだか変な想像しちゃうじゃなーいっ!』


  ヒソヒソ話す女子達の声は、
  竜二と絢音にもかろうじて届く。


   (―― 女子、怖っ……)


「……え、えっと、そろそろ、車へ戻るか」

「あ、う、うん、そうね……」

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