
オオカミは淫らな仔羊に欲情す
第11章 ちょっとしたヤキモチ
「今のところ新しい入居の予定はないから、
自由に使ってもらって構わないよ」
「えっ、それって ――」
「あ、和泉って、アルコールNGか?」
「それ以前にまだ私は未成年なんだけど?」
「今は目ぇ瞑るから、ちょっと付き合え。酒は1人で
飲むより2人で飲んだ方が断然美味いからな」
そりゃ、そうだけど……。
*** *** ***
ヾ(*´∀`*)ノキャッキャ
私達はいい気分でビールを瞬殺し、
ワインを開ける。
その名も ――
タマヤ スウィート・ゴート レイト・
ハーヴェストマスカット・オブ・アレキサンドリア
という、大変長ったらしい名前の逸品。
産地にしても大変珍しく、チリ産の貴腐ワインで
竜二いわく、この界隈で買える一番上等な
ワインらしい。
……まずは、仄かな薫りを楽しみ ――、
軽くひと口含んで口の中でコロコロと転がすよう
空気と混ぜ、ゆっくり飲み込む。
ぷはぁぁ~~……んー、旨いっ!
マジ美味しいこのワイン。
日本での販売代理店とかって、もう決まってる
のかなぁ……。
グラスの中の薄い琥珀色をぼんやり見つめながら
そんな事を考えていると ――。
「おい、こんな時仕事は考えるなよ」
「テヘッ ―― ごめん。でも、ホント美味しいよ、
コレ」
「だろ~? ヒデが惚れ込んで、産地のワイナリーに
日参して個人輸入に漕ぎつけたらしい」
それを2人ですいすいと、1本、2本、3本……。
フルーティーな甘口白ワインなので、
いくらでも飲めちゃうって感じ。
