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こんな日は抱いて欲しい

第13章 ふたりっきり


 カラオケボックスを出て、神木龍之介と並んで歩く。

 「あっ、あの」

 「ハイ」

 「真由子さんに何かお礼したいと思うんですが……
何か欲しいものとかありますか?」

 「えっ、あっ、そういうのいいですよ。
気にしないで下さい」

 「ダメですよ。
お仕事がお休みの日にわざわざ僕の我儘に付き合って貰ってます。
何かしらのお礼はさせて下さい」

 「ハァ……でも、ぶっちゃけ先生や早穂さんと過ごす休日は楽しいです。
だから、お礼なんていらないです」

 「そういう訳にはいきません。
僕は真由子さんの貴重な時間を頂いてるんです。
お礼をちゃんとさせて下さい」

 「じゃあ、早穂さんは先生にどんなお礼を頂いたんですか?」

 「早穂ちゃんは岩手までの往復の新幹線代ですよ」

 「えっ?」

 「彼氏さんの家がお蕎麦屋さんだそうです。
たまにお手伝いに行ってるみたいですよ。
ほら、わんこ蕎麦は名物でしょ」

 「偉い!早穂さん」

 「ハイ。僕も良い子だと思います。
そんな早穂さんをお嫁さんに迎えるお家も彼氏さんも幸せですね」


 ジーンジーン……胸が熱くなります。
メロンちゃん、出来る女です。

 

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