こんな日は抱いて欲しい
第3章 カモ〜ン
と、取り敢えずよ?
確認の為に聞いておくか?
目の前の、このすっ惚けた男に!!
「彼女とか?」
「うんうん。そう。
この近くにショッピングセンターあるでしょ?」
「あるある」
段々、優しくなれない私が居ますが……。
言葉もちょっぴりどうでもいいよ的に尖ってきますよ。
「そこのカルチャーセンターで料理教えてるのね」
「へぇ〜家庭的」
やや棒読みだけど、この惚けた男には気づきもしまい。
「真由ちゃんや千紗は、今風の女って感じがあるじゃん。
可愛いから、つい声掛けたくなっちゃう的な。
でもさ、やっぱ俺みたいなのじゃ、釣り合わないよね。
千紗と付き合ってみて分かったよ。
俺には地味で安心感出来ちゃう子が合うみたい」
上げて、下げんのか!
私らは見た目はまぁまぁだけど、真剣に付き合うには及ばないと?
「良かったじゃん、いい彼女見つかって!」
「うん。待ち合わせの時間までネカフェでも行こうかと思っていたけど、真由ちゃんに会えて楽しく過ごせて良かった」
『私は暇潰しかよ?』
「そう?
なら良かった」
『良くない、良くない、ちっとも良くない!』
「ここは俺がご馳走するよ」
「えっ、いいの?」
『それくらい、当たり前だろ!
お前は、私から時間だけじゃなくて大事なもんで奪ってんだよ!!』
「うん。
ごめんね。時間まで付き合わせちゃって」
「いいえ、いいえ、こちらこそ有難う」
「楽しかったよ、真由ちゃん」
「私も」
店を出ると、小走りにショッピングセンターの方に消えてゆく、山田翔を……後から蹴り飛ばしたい衝動を必死で抑えた。