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こんな日は抱いて欲しい

第7章 またの名を……



 怪しい者じゃあないと言われても、怪しいのが世の習わし。
が、しかし……神木龍之介の素性は知れている。
保険を偽造して歯医者にやって来る人も滅多に居ないだろう。
住所、氏名、年齢、電話番号に至るまでの個人情報を握っている。
私に下手な事も出来まい。
頭で試行錯誤しながらも、好奇心旺盛な私はこの2人の話とやらを聞く事にした。

 「安心して下さい。原田さんが嫌がるような事は致しません。
その……相談したい事がありまして……。
それをお話したいだけです」

 なんて、神木龍之介が真顔で言うからさ……。

 合意の上で2人に軽く拉致られて、タクシーを拾い、連れて行かれたその場所は、私の収入では敷居が高い料亭。
まぁ、金持ちが接待なんかで好みそうな場所。
女将に挨拶され、仲居さんに個室に案内される。


 こんなおしとやかでセレブチックな場所……私には不釣り合いだろ?
と、心で自分ツッコミをし、緊張してしまう気持ちを和らげる。
物珍しく、キョロキョロして落ち着きのない田舎者にならぬよう、冷静を装う。

 ラブホなんかで見る、エロビにありがちだよね?
街で声を掛けられて、普通の主婦がAVデビューしちゃう明らかにヤラセなんだけど楽しめちゃうやつ(笑)

 内心ソレじゃないかってヒヤヒヤだよ………。


 
 

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