幸せの欠片
第13章 想いが繋がる瞬間
「ゆっくり息を吐いて」
自分の吐き出したものと、ローションを纏った指がそこに当てられて、息を飲んだ
知識として、そこを使うのは知ってはいるけれど
実践なんてしたことがないんだから、力が入ってしまうのは仕方ないと思う
「…やっぱり怖い?」
「少し…」
怖くないわけ、ない
未知な部分を知るのはどんな時だって同じだ
しかもこれは、視覚でも聴覚でもなく
自分自身に与えられる感覚で
痛いだろうという先入観もあるんだから
「…でもごめん。止められない
…痛くないように気を付けるから、今だけ我慢して」
切な気な瞳で言われたら、嫌だなんて言えない
それに自分ばかり気持ち良くなってるのも、申し訳ない
「いいよ…俺なら平気」
大丈夫。相葉さんなら怖くない
そう自分に言い聞かせ、少し首を持ち上げて相葉さんに口付けた
「あんまり辛かったら、言えよ」
「…っ、くぅ…!」
そこを撫でていた指が1本、ゆっくりと差し込まれていく
固く閉じるそこに無理矢理入る指に、息を詰めた