幸せの欠片
第14章 幸せの時間
「二宮くん、どうかしたんですか」
ふいに声を掛けられて、ハッとして顔を上げた
普段、仕事中はあまり話し掛けられる事が少ないから一瞬自分の事だと分からなかった
「あ、松本さん…何が、ですか?」
どうかしたか、と言われても困るんだけど
「あ、いや…何だか嬉しそうだから」
「え?」
「いきなりすいません。…何だろ、顔がね
ずっと柔らかくて。初めて見る嬉しそうな顔だからつい」
頭を掻きながら、松本さんが眉を下げた
「嬉しそう、ですか」
自分では全く分からない
どんな顔をしていたんだろう
「うん。初めて見た、そんな顔
…何か良い事でもあったのかなって」
思わず両手で頬を覆った
昨日から今日に掛けて、相葉さんといたのは事実だし、抱かれた事で胸がいっぱいになってる自覚もある
だけどそれが顔に出てたなんて
「いえ、別になにも…」
松本さんの視線から逃げるように手元の書類に自分のそれを移す
知らず、そんな表情をしていた自分が恥ずかしくなった