幸せの欠片
第14章 幸せの時間
「ホント、幸せそうですよ。良い顔してます」
“仕事中に悪かった“ と席に戻った松本さんが、デスクに戻ってからもう一度こちらを見て軽く笑った
それに小さく会釈で返し、意識して顔を極力上げないように仕事に没頭するフリをする
なんとなく、気恥ずかしいし
こうして仕事に関係ない話をする事があまりない自分には、どう対応して良いか分からない
別に無愛想とか、付き合いが悪い訳ではない
誘われれば飲みにも行くし、嫌われてると言う空気もない
ただ、自分自身そこまでお喋りではないだけだ
あくまで仕事だけの付き合いだと思っていた同僚に
自分の些細な変化に気付かれるなんて、考えもしていなくて
だけど
それに対して嫌だとか、そんな気持ちは起きなかった事に自分で驚いた
人に観察されるのは好きじゃなかった筈なのに
それだけ相葉さんに、俺は影響を受けてるのかと思うと
それはそれで、嬉しいと認識してる事に思わず苦笑が漏れて
俺は慌てて書類で顔を隠した