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幸せの欠片

第16章 誓い


話を止めた、と言っても粗方話は済んでいる

だから相葉さんが完全に落ち着くまで待つのは何でもなかった


俺だって冷静な訳じゃない

話す事に緊張と恐怖で噛み締めた奥歯が痛みを訴えている

ただ、表情に出にくいだけだ

相葉さんにも、きっと俺が淡々と話してるように見えただろう

だけど

「かず、大丈夫?」
「…え?」

相葉さんからは “大丈夫?“ の言葉


「どうして?」

「凄く、辛そうな顔してる」

握っていた手が頬に回った

「…え」

「分かるよ。それくらい」

“何で“ と聞く前に相葉さんから言われてしまう

「かずの表情の違いくらい、分かる」


掻き乱される

相葉さんには、隠せない

どうしよう
鼻の奥が痛い


全て話すと決めた時から、多分 “生きたい“ と言う気持ちは固まっていた

だけどそれはやっぱり口にする事が出来なくて飲み込んでいて


「かずは、幸せになっていい」


…そんな俺を見透かすように相葉さんはするりと心の中に入り込んでくる

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