幸せの欠片
第16章 誓い
「かず、おいで」
ベッドに座っている相葉さんが両手を差し出している
素直に目の前まで歩いて行けば、当たり前に抱き締めて俺を見上げた
一緒に病院へ行くと決めた日から、相葉さんは何故か俺の家に居座っている
どうせ1週間ちょっとだし
反対する理由もないから相葉さんの好きにして貰っているけれど、その真意は図り兼ねた
一体どうしたのだろう
それぞれの会社で過ごす時間以外は、常に傍にいて必ず俺の視界に納まっていて
まるで俺が視界から消えるのを恐れているかのようにも見える
「どうしたの…」
相葉さんの髪に手を置いた
柔らかい手触りを指で楽しみながら、相葉さんに視線を落とす
「分からない。…何か、不安で仕方ないんだ」
俺を抱き締めてる腕に力が込もり、お腹の辺りに顔を埋めた相葉さんが、小さく息を吐いた
「何が、不安?」
「だからそれが分からないんだって。…ただ、かずを離しちゃいけない気がして」
そう言って再び俺を見上げた瞳が、ー…微かに揺れた