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幸せの欠片

第2章 再会


相葉さんがごそごそと鞄の中からスマホを取り出して

「二宮さんの気が変わらないうちに」

何て言うから、俺は声を出して笑ってしまった

「何で笑うの」

「だって、顔が必死で」

そう。相葉さんの顔が笑っているのに何処か必死なのが伝わって来たんだ


「そりゃ必死にもなりますよ。今逃したら、また捜さなきゃいけなくなるんだから」

「…え、今なんて…」


「もう一度会いたくて、二宮さんをずっと捜してた。何度もあのアーケードに行ったんだ」


どうして

何の面白みもない俺に、そこまで思ってくれるんだろうか

多分俺の顔からは表情が消えた


「せっかく偶然にもまた会えたんだ。このチャンスは逃しちゃダメでしょ」

ともすれば重くなりそうな雰囲気を

相葉さんがおどけて見せて、それを上手く壊してくれたから


「いいですよ。連絡先くらい」

だから俺もすぐに、表情を取り戻す事が出来た



じゃあ、と相葉さんがスマホを弄り出して俺に差し出す

そして

「通信させて」

にっこりと笑った

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