幸せの欠片
第18章 欠片は雨に消える
…それにしても
何故今日は色々な事を思い出すのだろう
やっぱり心の何処かで、手術を恐れているのだろうか
「ねぇ、相葉さん」
「ん?」
「嫌じゃなければ、毎日…」
「行くよ、必ず」
間髪いれずに相葉さんが笑って答え、
“当たり前だろ“ と握る手に力が籠った
「かず、お父さんは…?」
「退院したら、会う。病院には来ないでくれって言ったから」
「そっか」
「兄にもね、会うよ」
俺がそう言うと、相葉さんが驚いたように目を開いた
そしてすぐに、これ以上ない程の笑みに変わった
「かずには、これから幸せがたくさん来るね」
「そうかな」
「勿論、俺と一緒なのが一番だけど」
ふふ、と笑う相葉さんにつられて俺も笑みが溢れた
今も充分幸せだと思う
これ以上の幸せなんてあるのかと不思議にさえ感じるのに
だけど相葉さんとなら、もっともっと幸せになれる気がする
心から、笑える日がたくさん来る気がするのは
やっぱり相葉さんのおかげで運命が変わったのかも知れない