幸せの欠片
第18章 欠片は雨に消える
運命なんて、信じていなかったけれど
相葉さんがいたから人生が180度変わったし、自分の考えも変わった
相葉さんと出会わなければ、近いうちに孤独な死を迎えていただろうと思う
そしてそれが、自分にお似合いだとも思っていた
入院する前に、相葉さんと一緒に母の墓参りにも初めて行った
それまではきつく禁止されていて、お参りはおろか、そこに近寄る事すら許されなかった
大人になってから、勝手に行けば良かったのだけれど
母の最期の姿を思い出しそうで、敢えて避けていたのもある
あの日の事は、未だに夢で蘇る
それが、本当はずっと怖かった
勿論今だって、許されたとは思っていない
母が死んだ原因は、どうであれ自分である事に間違いはないんだ
だけど
ー…かずが生きる事で、お母さんは救われるんじゃないかな
墓前で相葉さんに言われた言葉は、強く胸に響いた
ー…かずがお母さんの分も生きる事が、何よりの供養になると思うよ
母を思って泣けたのは、……やっぱり隣に相葉さんがいたからだった