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幸せの欠片

第18章 欠片は雨に消える


雨の音

ブレーキ音

誰かの悲鳴


…何だか、あの時と同じだ

お母さんを失った、あの日と



「かず、もうすぐ救急車が来るから!」

相葉さんの声が遠く感じる

視界がぼやけてきた


ああ、そうか

今、分かったよ


俺、このまま死ぬんだね


だってほら、お母さんがそこにいる

俺に、手を差し出している



本当なら、お母さんじゃなくて相葉さんの手を取りたい

だけどそれは叶わない事だと、分かる




ー…ねぇ、相葉さん

あなたに出会えて良かった


だって、最期に俺に幸せを教えてくれたから

俺を、愛してくれたから



でもね

相葉さんは、どうなんだろう

俺と出会った事に、後悔してないだろうか




ああ、だけどきっと、相葉さんならこう言ってくれる


“後悔なんか、するわけないだろ!“


そう言って笑ってくれる





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