幸せの欠片
第3章 気分転換
夜景なんてゆっくり見たのは、初めてだ
興味がなかったのもあるけど、さしてわざわざ見たいとも思わなかった
だけど
こんなに綺麗なら、他の場所も見てみたい
昼と夜の違いも見てみたいと思った
「相葉さん…」
「ん?」
「嫌、じゃなかったら、昼間の景色も…」
言い掛けて気が付いた
何、図々しい事言ってるんだろう
こんなのタクシーでも使って1人で来ればいいじゃないか
「あ、いや、なんでも」
「いいよ!また来ようよ」
“なんでもない“ と言う筈の言葉は途中で遮られた
「ここだけじゃなく、他のとこもね」
「…ありがとう」
素直にお礼を言った俺に、一瞬驚いた顔をした相葉さんが、その後すぐにそれを満面の笑みに変える
「初めてだ」
「え?」
「1ヶ月以上経って、初めてかずの希望が聞けた」
相葉さんの顔が嬉しそうなのは何故だろう
「そう、だっけ?」
「そうだよ。いつも飯食う時も、俺に合わせてた」
…そんなつもりはなかったんだけどな