幸せの欠片
第4章 友達の定義
内容が内容だから、車の中で話す?と気遣った相葉さんを断って
柵に寄りかかり、夜景を見ながらあの日の事を相葉さんに話した
少し肌寒いけど、車の中みたいな密室で話すのは何だか嫌だったし
外の方が俺の表情もあまり見られずに済むと思ったからだ
「…紅茶と小銭の謎が解けた」
「何それ」
相葉さんのそれが、俺に気を遣っての言葉だとすぐに分かった
俺が思い出して沈まないように
そうやってさりげなく相葉さんは俺を庇う
「だって手付かずで置いてあって “1人だから“ って言われたら、ねぇ」
「…気付いてた?」
「まあ、何となくそうなのかな?くらいは」
それもそうか
言ってしまえばベタなシチュエーションだもんな
「でもまさか、2回目で聞けないからね。気にはなってたけど」
相葉さんがおどけたように “二人ともフリーかぁ“ とケラケラ笑った
「こんなにイイ男が揃って寂しいなんてねぇ」
「自分で言うんだ、それ」
俺もつられて笑ってしまって、周囲のカップルに睨まれて
二人で肩を竦めると、また声を押し殺して笑った