幸せの欠片
第7章 “好き“ のキス
だけど
初めて入った相葉さんの家は、何故か不思議と居心地が良いと思った
自分の家以外では、落ち着いて座った事なんてなかったし
それは彼女の家に行っても変わらなかったのに
ここでもまた、思う
相葉さんは不思議な人だと
「あ…美味しい」
相葉さんの入れてくれたコーヒーは、素直に美味しかった
「でしょ?それね、ちょっとこだわってんの」
相葉さんが得意そうに言うけど
そう言う彼の持つカップの中を見れば
「でも相葉さんのそれ…」
コーヒー、と言うよりカフェオレ
だってさっき、ミルクと砂糖しっかり入れてるの見た
「しょうがないだろ、俺ブラックは苦手なんだから。それにコーヒーが美味きゃこれも美味いんだよっ」
拗ねたみたいに言う相葉さんに思わず笑みが溢れた
はっきり言って屁理屈みたいなそれが、可笑しくて仕方ない
「ふは、香りも抜けるのに?」
「うっせ。お前が美味しいならいいの」
俺の為に買ったものじゃないのは分かってるけど
そんな風に言ってくれる相葉さんは
…やっぱり優しい