幸せの欠片
第8章 小さな嘘
「もう1つ、いい?」
「え…」
だけど相葉さんからの質問は終わりじゃなくて
…今度は何を聞かれるのかと身構えた
「もしかして、何処か身体良くないとこない?」
「…どうして?」
相葉さんが、分かる筈ない
あれは、気が動転して倒れただけだ
「ん…、なんかちょっとさ、気になって」
「ないよ、そんなの」
“何言ってんの“
軽く、相葉さんのおでこを小突いた
俺は、上手く笑えてるだろうか
声は、震えてないだろうか
相葉さんが心配する事なんか何もない
自分の事は、自分が一番良く知っている
俺は大丈夫
ー…まだ、大丈夫
「ね、…もうちょっとこのままでいて欲しい」
わざと甘えるように相葉さんの胸に頬を当てた
「うん、いいよ。…その代わり」
“キス、したい“
それには返事なんかいらなかった
二人の視線が絡み合ったのをきっかけに
どちらからともなく顔を寄せて
さっきの触れるだけのキスとは違う、お互いを求める深いキスに
俺は夢中になって、溺れていった