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幸せの欠片

第9章 あめ、くるま、…そして、あか


おかあさんのてをひっぱって、ぼくはあるいた

「かずなり、何だか凄く嬉しそうね」

「だって、おかあさんとてぇつないでるから」

いつもはじてんしゃだからてはつなげない

だからうれしかったんだ
おかあさんとてをつなぐのが

ニコニコとわらうぼくに

「いつまでそう言ってくれるのかしらね」

おかあさんがさびしそうにわらう

…なんで、そんなかおするんだろう


ぼくはおかあさんがだいすきなのに

ずっと、いっしょにいるのに





かさをさしたおかあさんも、ぼくとつないだてがぬれている

それでもおかあさんはおこらないでいっしょにあるいている

うれしいな

ずっと、つないでいたい

だいすきなおかあさんと、てをはなしたくない


「ねぇ、かずなり本当に寒くないの?」

「うん、へいき!」

ほんとはね、ちょっとさむくなってた

だけどぼくはおとこだから、“さむい“ っていわない

おかあさんに、つよいとこをみせたいんだもん


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