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幸せの欠片

第9章 あめ、くるま、…そして、あか


「怖かったね、泣かないで偉いぞ」

おまわりさんがあたまをなでた

パトカーのなかのあたたかさと、やさしいこえになんだかきがゆるんだのか

さわがしいおとがなくなったからか

ぼくのめからきゅうになみだがいっぱいでてきた


「よしよし、良く頑張った」

「ふぇ…っ」

どんどんとでてくるなみだがとまらなくて

おまわりさんのてがやさしくて


ここでぼくは、はじめておもいきりないた



こわかった

おおきなおとがして、おかあさんがたおれて

よんでもへんじをしてくれなくて

あたまからは、みたことないくらいのちがでていて

おとながいっぱいでてきて、いろいろはなしてて

じろじろとおかあさんをみて、なにかいってた

“助からないね“
“…もう、死んでると思うよ“


しんでる?

ちがう、おかあさんはしんでない



「よしよし」

おまわりさんは、ないてるぼくのせなかをずっとさすってくれていて

ぼくはなきつかれて、いつのまにかおじさんによりかかってねむってしまっていた


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