幸せの欠片
第12章 その先へ
帰りたくないと言った時から、実はずっと意識していた
この間、初めてここに泊まった時は
俺の不調を気にした相葉さんは、ただ抱き締めて眠っただけでキスまでしかしていない
あの時は、多分相葉さんは我慢してくれたんだと思う
俺だって、はっきり言ってそのつもりだった
抱かれてもいいと思ってた
だけど、それをしなかったのは相葉さんの優しさで
あの時は肌を合わせるよりも、寄り添う方が大事だった
だけど今日はこの間とは違う
多分、お風呂から上がってからずっと
…相葉さんを意識して止まない自分がここにいる
「布団、行こうか」
立ち上がった相葉さんが俺に手を差し伸べた
手を取れ、と言う事なんだろう
「…うん」
相葉さんに借りたハーフパンツで何となく手を擦ってから、差し伸べられたそれを握って自分も立ち上がる
寝室までの短い距離
それだけでも、この手を離したくないと思った
相葉さんに触れていたいと、そう思った