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自分であるために

第1章 糸が切れる瞬間

「京! またそんな男の子みたいな格好して! ママが買ってあげたお洋服があるでしょ? もうそろそろ彼氏の一人でも連れてきなさいよ」

 もう何度、この言葉を聞かされただろうか。俺の中で何かが弾けとんだ。

「もう、こんなのやってられっか! アンタは何も分かっていない!」

 俺ははさみを手に黒髪ロングの髪をばっさりと切り落とした。床に散らばる髪。服を脱ぎ捨て、さらしを巻いた。

 どうして、この世には性別というものが存在するのだろうか。心と体がバラバラでいつも息ができなくて苦しい。

「京! やめなさい。やめてぇぇぇ!」

 泣き叫ぶ母親の声。俺はその声を無視して、パンクロックな格好で家を飛び出した。

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