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自分であるために

第2章 思い知らされる性別



        ***

夜の街。昼は静かな街も夜になると騒がしい。騒がしい場所を避けて、裏道を歩いていた。

「お姉さん、こんな夜に一人ぃ?」

「髪どうしたのぉ?」

「寂しくなぁい?」

 またくだらない連中。恥じらいもなくお姉さん、お姉さんとナンパしてくる男たち。こういうのは無視するに限る。

「おい! 無視すんなよ!」

 俺は走ったがすんなり捕まれてしまった腕。

「クソッ!」

「可愛げねぇなぁ。いつまでそんな憎まれ口利いていられるかな」

「……ちょっ!」

 泣きたくなんてないのに涙が頬を伝う。

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