自分であるために
第7章 アタシが意見できたのは
***
上気した気持ちのまま文化祭会場を出ると隣に救急車が止まった。
「何かあったのかなぁ?」
「さぁ?」
救急車から降りてきた人と目が合った瞬間、ゾクリとした。こんな偶然、あってたまるものか。
「知ってる人?」
知ってるという次元ではない。だってその人は――。
「薫! またそんな格好して! 気持ち悪い!」
そうその人は、アタシの父親。アタシは俯くしかできない。通り過ぎようとする父親の腕をグッと京が掴んだ。それは一瞬の出来事。
「なんだ君は!」
「ふざけんなッ! 薫は気持ち悪くなんてない! 薫はな! どんな人間より一生懸命生きてるし、お世辞抜きでそこいらのオンナより可愛いんだよ! オッサンに何が分かるんだよ!!!」
アスファルトに涙が滲む。今まで恥ずかしいことなんだって思って、隠して、隠して細々としてきたアタシ。だけどそんなアタシがこんなに堂々としていられるのは隣に京がいるから。父親のこんな態度には慣れたけれど、アタシの為に怒ってくれた。それがただた嬉しくて。知らなかったよ。人って、嬉しくても涙が溢れるんだね。
上気した気持ちのまま文化祭会場を出ると隣に救急車が止まった。
「何かあったのかなぁ?」
「さぁ?」
救急車から降りてきた人と目が合った瞬間、ゾクリとした。こんな偶然、あってたまるものか。
「知ってる人?」
知ってるという次元ではない。だってその人は――。
「薫! またそんな格好して! 気持ち悪い!」
そうその人は、アタシの父親。アタシは俯くしかできない。通り過ぎようとする父親の腕をグッと京が掴んだ。それは一瞬の出来事。
「なんだ君は!」
「ふざけんなッ! 薫は気持ち悪くなんてない! 薫はな! どんな人間より一生懸命生きてるし、お世辞抜きでそこいらのオンナより可愛いんだよ! オッサンに何が分かるんだよ!!!」
アスファルトに涙が滲む。今まで恥ずかしいことなんだって思って、隠して、隠して細々としてきたアタシ。だけどそんなアタシがこんなに堂々としていられるのは隣に京がいるから。父親のこんな態度には慣れたけれど、アタシの為に怒ってくれた。それがただた嬉しくて。知らなかったよ。人って、嬉しくても涙が溢れるんだね。