テキストサイズ

自分であるために

第7章 アタシが意見できたのは

「そうか。今、忙しいから離してくれないかな? 薫、帰ったら、また話そう」

 父親は隣のビルへと消えていく。

「薫、嫌なら帰らなくてもいいんだよ? 俺、付き合うし」

「いや、大丈夫。帰るよ。ちゃんと自分の気持ち、話してみるよ」

「分かった。辛かったら夜中でも俺に電話しろよ。一人で泣くんじゃないぞ」

「ん、ありがと。京は優しいな~!」

「ちょっ! やめろよー」

 照れ隠しに京の髪の毛を思い切りぐしゃぐしゃにする。大丈夫、アタシはもう一人じゃない。京という味方がいる。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ