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第26章 ちくたく
N「よかっ・・・たぁ、」
いやいや、よかったじゃないよ。
変質者じゃないけどこいつは浮気者だ。
それにうちに帰れって言ったのに
まだ探してた大馬鹿者だ。
ギュウッと一層力を込めて抱き寄せられるのを
必死で抵抗する。
N「離せよ・・・。 」
大して力の入らない体でこんなこと言ったって
なんの効力もないかもしれないけど。
プライドだ。意地だ。
もう惨めな思いはしたくない。
A「離さない。 」
N「・・・っ離せよ!俺に嘘ついてまで
会ってたあの子のとこにいけばいいだろっ…」
A「ちがうっ!涼とは・・・っ、 」
N「いいってもう・・・
俺が引けば丸く収まる話じゃん。
元どおりになるだけだよ。・・・ックシュ!」
A「だから違うんだって!
・・・にのちゃん体冷え切ってる。
とりあえず家にはいろ?すぐそこだから。 」
N「・・・(グスっ)。」
鼻をすすりながら何も言わない俺を
肯定ととったのか、
半ば引き摺られるようにして
目の前の家に招き入れられる。
本当に、すぐ目の前の家。
・・・てことは?探すなって言いながら、
相葉くんちに近づいて行ってのは俺の方で、てこと?
何これ超絶カッコ悪いじゃん・・・。
玄関を開けると、まーくんがバカでかい声で
A「かーーちゃーーん!
にのちゃん帰ってきたよーーー!!」
と叫んだ。
すぐさまリビングから出てきた相葉ママ。
「にのちゃ〜ん!具合はいいの?大丈夫?」
とおれのところへ辿り着くなり
ペタペタとおでこや首筋を触る。
N「・・・?あ、はい。大丈夫・・・? 」
不思議に思っている後ろでまーくんが
ヤベって顔してたのを俺は気づかなかった。
